せんだいしゃしんげっかん
仙台写真月間

6人の写真家のそれぞれの写真展を約1ヶ月にわたって連続して開催します。

2025.10.07(火) - 11.02(日) 仙台アーティストランプレイス SARP

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2025.10.7tue - 10.12sun

髙橋 親夫「記憶となったふるさと」

SARP space A

私のふるさとは、仙台市宮城野区中野向田(現・高砂1丁目、2丁目)である。
これらの写真は昭和59年冬~60年秋に撮影したものである。
稲作としての実りの秋はこれが最後となった。そして田園風景は区画整理事業による工事の進捗とともに消えていった。
これまでの農家の屋敷の中の生活の跡はすべて失われ、代わりに新しいものだけが地域の未来を示していた。
42~43年を経た今、地域に住む多くの人はこの風景が、この地であることを知らない。
この記録は、老いてしまったその時の人たちの若い時代の暮らしの証となった。
若々しく喜びに輝いていた懐かしい人たちの姿の多くは、今はいない。

髙橋 親夫 Takahashi Chikao
1947仙台市に生まれる
2015京都造形芸術大学写真コース卒業
「3がつ11にちをわすれないためにセンター」活動参加
写真集「あの日につづく時間 2011・3.11」
個展
2017「タイル・ルート・トタン」せんだいメディアテーク
「神々のハマドオリ」SARP
2018「マテリアル」SARP
2019「数は語る」SARP
2020「地上を移動する目・上空からの視線」SARP
2021「ここにいた時は子供だった」SARP
2022「ものが語る土地」SARP
2023「双葉のふたたび」SARP
2024「普通という風景」せんだいメディアテーク
「それからの浜辺」SARP
「崩落した3月」せんだいメディアテーク
グループ展・企画展など
2021「浪江のきた道・ゆく道」せんだいメディアテーク「星空と路」
2022「ここにいた時は子供だった」せんだいメディアテーク「星空と路」
2023「地図に記された風景」せんだいメディアテーク「星空と路」

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2025.10.14tue - 10.19sun

サトウダイスケ「写真研究 V」

SARP space A

写真研究はもともと森の写真を撮影している時期に人との出会いを通して気づき学びを得たものだ。しかしながら森で撮影するのはやや難しいと感じるようになり、自分なりの考えもプラスして街の事物を通して線や面を使いながら撮影することになった。そして空間を意識し写真研究へと繋げていった。今回の展示では20才頃から40代半ばにさしかかるまでの制作過程の文章も簡単ではあるが書いた。同時に写真研究に関する文章も書いた。その文章の中にサブタイトルも入れてみた。これらの写真や写真の取り組みへの経緯、文章がこれから個展をやってみようと思っている人たちや写真研究に少しでも興味をもった人たちに役立てば幸いです。

サトウダイスケ SATOU DAISUKE

写真家。宮城県出身。主な展示としては色のてまえにあるのは光として生活の一場面を撮影し発表した個展「ever」。光を包んでいるのは闇として20代から40代までに制作したモノクロ作品にデジタル効果を積極的に取り入れ展示した個展「beyond the wall」。時間や偶然、蓋然性、光の反射などを中心に展示した個展「偶然の観察」。1枚1枚ばらばらな写真をくみあわせ共通点をみつけていく個展「くみあわせる」。宮城県の森で偶然みつけた写真や木々を使って構造を意識し撮影した個展「森」。線と面をテーマとして撮影した個展「自由と不自由さの間で」。写真の性質や特性について研究していくことをテーマとした個展「写真研究Ⅴ」など。

依田 俊哉「沢によりそう鏡の林」

SARP space B

私たちは、一瞬の沢の林を見ているのにすぎない。木々は枝を伸ばし、無数の葉をつけ天空を覆う。
「光ある所に影がある。まこと栄光の影に数知れぬ忍者の姿があった。命をかけて歴史を作った影の男達。だがひとよ なおとうなかれ、闇に生まれ 闇に消える。それが忍者の運命(さだめ)なのだ 」(アニメ「サスケ」冒頭のナレーションより)

たった今の沢の林が見たい

沢は、数百年以上の時間をかけ、洪水、崩落、堆積などの出来事と安定を繰り返している。植物は,数多くが芽生え,成長し、死んでいく。高木は数十年以上成長を続け、低木やシダは短い命を繰り返してきた。さらに,柴刈りや伐採など人手も加わる。光、地形・地質、水、動植物、人手などの環境要因の中、植物個体は根を張り、光を浴び成長を続ける。死んだ植物体は分解され、次植物の成長に寄与する。

植物は沢に生まれ死んでいく。それは沢でのほんの一瞬の出来事に過ぎない。

依田 俊哉 Yoda Toshiya
1961長野県小諸市生まれ
1985宮城教育大学教育学部生物専攻卒業
1991建設コンサルタントで自然環境調査に従事
1921東北、長野、紀伊半島、奄美、沖縄にて写真撮影
2023写真集「琉球弧は島人を乗せてどこへ行く」
2023ラオス ポンサリー地方にて写真撮影
個展
2021「LANDSNAP そして森に還る」名古屋市、奄美
2023「琉球弧は島人を乗せてどこへ行く」石垣市、宮古島市、那覇市、SARP、Gallery Niepce(東京都四谷)
2024「ポンサリー 雨緑樹林の交接」Gallery Niepce、SARP

https://www.yodatoshiya.com/

3
2025.10.21tue - 10.26sun

工藤 寛之「変景の街」

SARP space A

あの未曾有の大震災から15年を控え、その復興工事はほぼ全てが完工を果たしたという。復興とは、すなわち、それまでの営みの場であった街の風景を「安全・安心」のもとに徹底的に土木工事で変化させ、その完成形に合わせて暮らしをゼロから作り直すプロセスであった。
今は槌音が消え、巨大なコンクリートの建造物と、大きく姿を変えた街の景色が似たような表情を漂わせながらリアス式の海岸線に並ぶ。だがそこに至るまでは常に砂塵が舞い、重機とダンプがうなりをあげ、道路は仮設工事で蛇のように右へ左へとのたうちながら迂回を重ねる中に、被災地の日常があった。それは復興政策に沿うものであったが、果たしてそこに暮らしを重ねる人の人生に沿ったものであったか。
本作品では、被災地の変転を捉え続けたレンズの記憶から「復興工事」の記憶を改めて編んだ。

工藤 寛之 Kudo Hiroyuki
1975横浜市磯子区生まれ
1997法政大学文学部哲学科卒業
2006多賀城市市民活動サポートセンターセンター長(〜2013)
2017京都芸術大学芸術学部美術科写真コー ス卒業
個展
2022「後方残置」SARP
2023「3.10.11〜二つの災をわたる」SARP
「不連続をたどる」SARP
2024「ここにあった風景、ここにある風景」せんだい3.11メモリアル交流館
「どこにも行けないどこか〜続・後方残置」SARP
2025「どこにも行けないどこか — undefined 後方残置」Gallery koko
グループ展・企画展など
2016「定めた点から観て測る」せんだいメディアテーク
2021「星空と路」せんだいメディアテーク
2022「せんだい21 アンデパンダン展2022」中本誠司現代美術館
2023「せんだい21 アンデパンダン展2023」ギャラリーエチゴ

4
2025.10.28tue - 11.2sun

中村 千鶴子「断崖に響く」

SARP space A

神輿は家々もなければ迎える人々もいない道を進んで行く。
かつてここには漁村の町並みが広がっていた。
「悲しいときこそ祭りは必要なんです」
「小さい祭りだけれど」
その糸が途切れぬよう、そしてどこまでも続くようにと願いを込める。
ここは北上山系のなだらかな起伏が、急激にその傾斜を変えて太平洋に落ちるところ。
200mもの断崖はその険しさと美しさで人々を魅了する。
一方で、交通の難所として人々の前に立ちはだかってきた。
1981年、岩手県田野畑村の明戸地区は、原子力発電所建設の候補地として取り上げられた。この地域の女性達は「いくら交付金をもらっても、美しい故郷を捨てたくない」と原発建設に反対した。その運動が奏功し、岩手県に原発が建設されることはなかった。
2011年3月11日、東日本大震災。田野畑村の沿岸部は大津波により壊滅的な被害を受けた。

アーティストトーク

11月1日(土) 18:00 - 19:30
中村千鶴子&沼田つよし
開始時間になりましたら会場にお集まりください(参加無料・予約不要)。

中村 千鶴子 Nakamura Chizuko

岩手県久慈市生まれ、北海道大学卒業、岩手県公立学校勤務
1993~1996 モスクワ日本人学校派遣

2020東京綜合写真専門学校卒業
2023写真集「断崖に響く」蒼穹舎
第三回ふげん社写真賞準グランプリ受賞
個展
2021「潮鳴りは空に響もす」MUSÉE F(東京)
2022「断崖に響く」アイデムフォトギャラリー「シリウス」(東京)
2023「断崖に響く」ニコンサロン(東京)
「冬のスケッチ」エプサイトギャラリー(東京)
2024「冬のスケッチ」コミュニケーションギャラリーふげん社(東京)

沼田 つよし「地の花」

SARP space B

2020年の春から仕事で月に一度、青森県南津軽郡大鰐町へ行くようになった。同町の島田地区は知人の生まれ育った場所である。撮った写真をなかなか地元に帰る余裕のない友人へメールで送った。それから毎月、心赴くまま気になった場所を撮り続けてきた。
いつのまにか3年がたち、知人に子が生まれた。その子が大きくなったとき、親の故郷は自分が撮ったそのままだろうか、まったく違うものになっているだろうか。人の営みがつくった景色はこうだったよ、と「時の手紙」として、その子に送りたい。

アーティストトーク

11月1日(土) 18:00 - 19:30
中村千鶴子&沼田つよし
開始時間になりましたら会場にお集まりください(参加無料・予約不要)。

沼田つよし Numata Tsuyoshi
1969青森市生まれ、青森市在住
個展
2008「ヴィジョン・オブ・アオモリvol.4 - 河口へ」国際芸術センター青森(ACAC)
2017「湾」青森県立美術館コミュニティーギャラリーB
2024「CARGO」SARP
グループ展・企画展など
1996写真研究室3人展 青森市民美術展示館「非日・日常」出品
1998N-unit 展 青森県観光物産館アスパム エネルギー館ギャラリー「restructuring」出品
2019青森県立美術館コレクション展2019–4「ローカルカラーは何の色?ー写真家・向井弘とその時代ー」「つづく」出品

2017年から「N–LABO ZINE」として「first snow」シリーズや「crack」「GO!」などを制作
2018年から2024年までCyg art gallery(盛岡)が開催している「ART BOOK TERMINAL TOHOKU」に出品

Access

仙台アーティストランプレイス SARP

仙台市青葉区錦町1-12-7 門脇ビル1F
TEL 022-222-0654
平日・土曜11:00-19:00 日曜 11:00-17:00
定休日 月曜 駐車場 3台

Contact

仙台写真月間事務局

仙台市若林区六十人町28
TEL 070-4011-9094